扶養をはずして個人事業主にする判断

・私はサラリーマンで数年前相続をして不動産収入があります。
収入はサラリーマン600万、不動産500万くらいです。

・不動産投資を考えており、600万程度の戸建てを貯蓄で現金購入→賃貸として7万/月で貸し出しを予定しています。順次2.3件。

・所得税・住民税を考え妻を不動産の名義にしたいと思っています。
妻は年収50万程度で配偶者特別控除枠で、不動産所得ができれば仕事をセーブ(辞める)することも可能です。

【質問1】
貯蓄名義は私ですが、購入をした場合妻所有物にして個人事業主とするのは可能でしょうか?

【質問2】
仮に仕事を辞め不動産所得だけになった場合、現在控除されている

・配偶者特別控除
・扶養による社会保険

も受けられなくなるのでしょうか?

(質問1)
 可能といえば可能ですが、ゆきゆまさん名義の預金を一時に引き下ろして、本人でない奥様が不動産を取得したことになったら、ゆきゆまさんから奥様への贈与だと見做されてしまうことになります。とはいえ、長期的なスパンで考えて御夫婦分の所得をトータルに考えて節税を図るためには、御二人の間で所得の分散をすることは、有意義なことと言えましょう。そこで税務当局に贈与だと認定されることを回避するために次のようにされたら如何でしょうか?
(1)ゆきゆまさんが奥様に600万円の御金を貸す形にされて、金銭消費貸借契約書を作成し、奥様の名義で不動産を取得する。
(2)奥様側がらすれば、上記(1)の借入に関して、1ヶ月の返済額を例えば3万円だと設定したら、その3万円を家賃の入金される口座から、ゆきゆまさんの口座に送金し返済を続けているという証拠をしっかり残していく。
 なお現在の奥様の給料収入が50万円であれば、65万円までの範囲であれば、給与所得控除を差し引いた後の給与所得はゼロになるので、上記(1)及び(2)のようにされたという前提で実質的に奥様の不動産所得のみに関して、所得税及び住民税が課される形になります。さらに青色申告を申請し、青色申告特別控除の10万円を適用することとし、下記の算式で算定された金額が38万円以下であれば、彼女に対する所得税等の税金の負担は無く、従来通りゆきゆまさんの扶養の範疇にも収まるのです。  
 不動産収入(84万円=7万円×12ヶ月) ― 必要経費(固定資産税+減価償却費その他) -10万円(青色申告特別控除)

(質問2)
 配偶者控除は、奥様の所得金額が38万円以下であれば、ゆきゆまさんの給与所得並びに不動産所得のいずれからも適用できますが、社会保険については御勤めの会社を退職されるのに伴い、自動的に国民健康保険に移行されるのに伴い、世帯ごとに納めることとなり、最高限度額として60万円程度が設けられ、1世帯に属する個人の所得を合算した金額が納付額として課される形になります。そうなったとすると、会社の負担分が無いため、現在の会社で加入していらっしゃる健康保険料よりは納める金額が割高になると思われ、先程申し上げた限度額の範囲で所得金額の1割に相当する金額を支払うことになると思われます。

小林慶久税理士事務所

2012/5/7 月曜日