相続人以外の死亡退職金の受け取りについて

先日父が亡くなりました。
父は、母と離婚していますので、
相続人は、実子3人です。

父は地方公務員だったので、死亡退職金の受取人は祖母(父の母)でした。
金額は約2500万円です。

祖母が受け取った後、許可を得て私たち兄弟3人で分けました。

質問1.
この場合、祖母は死亡退職金の受取に対して、何かの税金を払わなければなりませんか?

質問2.
子供達3人は、祖母からもらった金額に対し、贈与税を支払ったらよいのでしょうか?
それとも、相続税の計算の中に退職金の金額を含めないといけないのでしょうか?

死亡退職金は相続税の課税対象資産となります。相続財産は死亡退職金だけでしょうか?生命保険金や土地建物の不動産、現預金などはありませんか?全体で判断しますので、具体的な相続財産がわからないので、お答えできませんが、
法定相続人の数が3人ですので、遺産に係る基礎控除額は、
5千万円+1千万円×3人(法定相続人の数)=8千万円になります。
相続財産が、これより下回れば、相続税はかかりません。
他の相続財産を無視して死亡退職金のみに限定してみると、死亡退職金の非課税限度額は
5百万円×3人(法定相続人の数)=1,500万円
2,500万円-1,500万円=1,000万円が
相続税の課税対象資産になります。

上間智志税理士事務所

2011/1/4 火曜日

死亡退職金の支給を受ける者の判断ですが、退職金規程等により定められている場合はその方が支給を受ける者になり、定められていない場合は実際に支給を受けた者又は遺産分割協議で定めた者等になります。

今回のケースでは、お父様がお勤めの会社の退職金規程で受取人の順序がどのように定められているかによります。
祖母が支給を受ける者として一番早い順位として定められているのであれば、祖母が一旦受取った後で支給分を他の人に渡すと、自分の財産を孫に贈与したことになり贈与税の対象になります。

また、祖母は死亡保険金の受取に対して相続税の対象になります。子が相続した財産と合算して相続税が発生するかを計算します。子は祖母から受取る2,500万円に対しては、父の相続税の対象ではなく、祖母からの贈与税の対象になります。
なお、祖母は法定相続人ではありませんので、相続税の課税価格の計算上死亡退職金の非課税枠1,500万円は使えません。

会社に死亡退職金の支給を受ける者の定めがない場合や、子3人が死亡保険金の支給を受ける者とする解釈が可能な場合は、子が死亡保険金の支給を受ける者になりますので、その場合は、祖母は何も受取っていないので相続税の対象にはならず、子3人が死亡保険金を受取ったものとして相続税の対象になり、子3人は祖母からは何も受取っていないので贈与税はかかりません。

ちょっとした解釈の違いで税額に大きな違いがでてしまいますので、事実関係をご確認の上、所轄の税務署で死亡退職金の取扱をご確認されることをおすすめします。

(参考条文等)
相続税法基本通達3-25(退職手当金等の支給を受けた者)

宇佐美税理士・社会保険労務士事務所

2011/1/5 水曜日