相続に関わり、税金が心配です。

質問させてください。

私は35才、既婚でパートをしています。 3年前に祖父が亡くなり、養女になっております私も相続の対象になり ついこの間 弁護士を間に入れ、相続の手続きが完了しました。

土地を相続し、相続人3人で売却した後、lそれぞれに分配しまして、金額としては1600万程で、弁護士費用200万をお支払いし、手元には1400万ほどの金額が残っております。

そこで相談ですが、専門の方にまだお話を聞いていただいていないのでわからないのですが 税金が約300万かかるとの話…。来年の扶養家族からも抜かれ、現在は主人の社会保険の扶養家族で 月に12000円 手当をいただいておりますが、それも1年間貰えず、国民健康保険で 高い金額になった保険料も支払うとの話でした。 話を聞いた方は税理士さんではありませんので、話の内容は、多分…という前提でしたが。   なお、もう一人の相続人の知り合いからは、3000万以下は税金がかからないと言われたそうです。

生活としては 毎月大変ですので、祖父が残してくれたお金も、正直300万税金で消え、扶養からも抜かされてしまうと、悩んでしまい、本当に生活も苦しいです。

時間がとれたら、市役所の税務課に行って、お話を伺おうと思っていますが
専門の方の見解を聞かせて頂けたらありがたく思います。宜しくお願い致します。

よろしくお願いいたします。

1.土地の譲渡の税金について
 それぞれの相続人の方に譲渡所得として所得税が課税されます。
 譲渡所得=譲渡収入-取得費-譲渡費用
  取得費とは譲渡した資産の購入代金や、購入手数料などの資産の取得に要した金額に、その後支出した改良費、設備費を加えた合計額です。土地はこの合計額そのままですが、建物はこの合計額から減価償却費相当額を差し引きます。
  相続により取得した財産は亡くなられた被相続人がその財産を取得した時の金額を承継します。
  実際の取得費が不明の場合には譲渡価額の5%を取得費(概算取得費)とすることができます。
  譲渡費用と譲渡のために支出した費用をいい、仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、売却するときに借家人などに支払った立退料、建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用などです。
 所得税額=譲渡所得金額×税率
  税率 長期譲渡所得(譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える場合)国15%地方5%計20%     短期譲渡所得(譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年以下の場合)国30%地方9%計39%
  所有期間を計算する場合、相続により取得した財産については亡くなられた被相続人の所有期間を通算します。
 ご質問の場合土地の所有期間、取得費、譲渡費用は不明ですが、長期・取得費は概算取得費・譲渡費用0とすると1,600万円×(1-5%)×20%=304万円の税金となります。
 「3,000万円以下は税金がかからない」というのは居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例のことを指しているのではないでしょうか?この特例は文字通り自己の居住の用に供していた不動産を譲渡していた場合に受けられる特例です。したがってその土地がその取得した相続人の居住の用(被相続人と同居でも可)に供していた場合には、その相続人はこの特例を受けられます。そうでない方は前段の通りとなります。
 話が横道にそれますが、実際に居住用財産の特例が受けられる相続人がいて、譲渡金額が3,000万円以下であれば、今回のように換価分割をするのではなく、代償分割をされた方が節税になります。例えば居住用財産の特例が受けられる相続人Aが土地(譲渡金額3,000万円)を一人で相続し、かわりに他の相続人B、CにはAが代償として各1,000万円を支払うことで遺産分割をまとめます。Aは土地を実際に売却した譲渡代金から先の代償金額をB、Cに支払います。そうするとAは譲渡所得に対する税金が0円となる、ということです。

次に「扶養」の問題です。
「扶養」の問題は3つに分かれます。
まず、会社からの「扶養手当」の問題ですが、これはそれぞれの会社の内規(給与規定など)の問題なので会社に確認していただくしかありません。
次にご主人の所得税・住民税の「扶養」すなわち「配偶者控除」の対象となるか否かの問題です。「配偶者控除」の対象となる方は「その年の合計所得金額が38万円以下であること」が条件です。この「合計所得金額」には土地の譲渡による所得(特別控除前)が含まれますので、取得費・譲渡費用いかんによります。前記の税額計算どおりだと今年は「配偶者控除」の対象外となります。
最後に社会保険の「扶養」についてです。実は社会保険の扶養の範囲については法律上は厳密な規定はなく、厚生労働省の通達では年間収入130万円が基準とはされていますが、この年間収入に土地の譲渡などの臨時収入を含むかどうかは会社によって取り扱いが違っています。これも会社に確認していただくしかありません。

以上です。

及川小四郎税理士事務所

2012/10/2 火曜日