勘定項目「事業主借」と赤字について
現在、サラリーマンを本業としながら、今年の9月に今後の独立を考えて事業を興しました。
税務署のすすめや簿記の勉強を少ししていたこと、PCソフトが整っていることから「青色申告」にしました。
しかし、何点か不明なことが出てきましたので質問します。
【質問1】
開業資金として自分の貯金から事業用資金として入れた場合
[借方]現金 ○○円 [貸方]事業主借 ○○円
でよろしいのでしょうか?
【質問2】
当初入れた事業資金が底をつきました。まだ売上がありません。なので交通費などの経費を支払うのは個人の財布から持ち出して支払っています。
この場合はその都度
[借方]旅費交通費 ○○円 [貸方]事業主借 ○○円
とするべきなのでしょうか?
それとも、
[借方]旅費交通費 ○○円 [貸方]現金 ○○円
として赤字を積んでいくべきなのでしょうか?
【質問3】
いずれにしても個人のお金を持ち出している事になるのですが、売上が上がれば「事業主借」分と赤字分は個人へ戻しても良いのでしょうか?
【質問4】
決算を赤字でした場合、翌期の繰り越しは「赤字」からのスタートとなるのでしょうか?「0」からのスタートとなるのでしょうか?
【質問5】
前期で赤字になった分の個人からの持ち出し分は、翌期では戻ってこないのでしょうか?
(翌期末の決算時に、前期赤字分との相殺によって戻ってくるのでしょうか?それとも、期中でも戻すことは可能なのでしょうか?)
質問が多くなりましたが、よろしくお願いします。
はじめまして、ティーアンドティー会計事務所です。
「事業主借」と「事業主貸」は慣れていないと、難しく感じてしまいますが、1度コツを掴めば簡単です。
まず、ご質問者様のご質問にありますように事業負担のものを個人が負担した場合に「事業主借」勘定を用います。
【ご質問1】は現金で個人から負担しているという意味になりますので正しい仕訳です。
【ご質問2】につきましては個人の持ち出しということなので、貸方に事業主借勘定を用いることになります(前者の仕訳になります)。
【ご質問3】の売上時につきましては、個人の持ち出しの回収とされる際には、
事業主貸×× 売上×× もしくは 事業主借×× 売上××
という仕訳で問題ありません。
【ご質問4】につきましては、決算が赤字であった場合、事業主借が残高として残るため(赤字分を個人が負担しているため)、その分は貸借対照表の元手金の増加として翌期に繰り越しされます。損益計算書の期間損益はまたゼロからスタートいたします。
(青色申告している場合、繰越欠損金として翌期の黒字と相殺できます)
【ご質問5】につきましては、恐らくご質問者様の意図としまして、翌期の売り上げで回収した分を今まで個人が負担していた分へ補填できないかということだと考えます。この点、翌期の売り上げ計上時に事業主貸の仕訳を用い、積みあがった事業主貸から決算時に元手金を減らす仕訳を起票します。
〈売上計上時〉
事業主貸×× 売上××
〈決算時〉
元手金×× 事業主貸××
これにより、個人の持ち出し分を減少することができます。
ご参考頂けましたでしょうか。
川崎市の税理士の五味と申します。
私見ではありますが、ご回答差し上げます。
質問1
おっしゃる通りの仕訳で構いません。
ただ、まとまった金額の入金でしたら、事業開始時に「元入金」勘定を使用してもよいと思います。
どちらでも、差し支えないと思われます。
質問2
開業資金がたっぷりあり、現金勘定がマイナスにならないのであれば、後者の仕訳で差し支えありません。
但し、現金勘定がマイナスになるようであれば前者の仕訳をせざるを得ないでしょう。
質問3
おっしゃる通り、売上があがって帳簿上、現金又は預金があり、事業に貸した金額は個人へ戻しても差し支えありません。
帳簿上、現金勘定がマイナスにならないよう、注意してください。
質問4
その場合、損益勘定は0からのスタ-トとなります。
ただ、赤字を出したなら、所得税の申告のう上で、給与所得との損益通算ができます。
控除し切れなかった赤字は3年間繰り越して、翌年以降の黒字と相殺ができます。
質問5
翌期に現金又は預金があれば自由に返済は可能です。
決算の黒字、赤字と別に帳簿上、現金又は預金の残高があれば個人へ金銭を戻すことは自由です。
(損益計算の黒字、赤字と、事業主がその事業に投資した金銭の返済を混同されているようですね。両者は全くの別物ですのでご留意ください)
個人事業ですので、帳簿上、現金又は預金の残高があり、その金銭を個人へ返済しても損益計算には影響がありません。
ご理解いただけたでしょうか?
以上、簡単ではありますが、回答とさせていただきました。
宜しくお願いいたします。
