デットエクイティスワップ

父の会社(地方の建設業)が2000万円の債務超過で苦しんでいます。私は会社に2000万円少し貸しており、この債務超過解消のため、貸し金を資本に振り返る現物出資を考えています(デットエクイティスワップ?)。いろいろ調べてみたのですが、その手続、特に税務上の留意点が良く分かりません。会社に税金負担が生じないようにしたいと思いますが、どうすればよいでしょうか?の他手続上の留意点、報酬等についても教えて頂ければ助かります。何卒宜しくお願いいたします。ちなみに父の会社は特例有限会社です。私はサラリーマンですが、父の会社の形式上の取締役になっています。 ここ数年銀行融資が難しく毎日苦しんでいます。ご回答よろしくお願い致します。

はじめまして。デット・エクイティ・スワップ(以下、「DES」)の概要を回答致します。

DESの場合、100%親子会社間で行われる場合以外は殆ど非適格現物出資に該当するため、非適格現物出資をベースに回答させて頂きます。

?税務上の留意点
(1)お父様の会社について
 DESにより資本金等の増加限度は、息子様が保有する貸付金(約2000万円)の時価となり、多額の債務超過が継続している会社であれば、限りなく0に近いと思われます。時価と帳簿価額との差額は債務消滅益が計上されることになります。但し、繰越欠損金の範囲内であれば、法人税の負担は無いです。
 仮に、お金を貸し付けているのが息子さんの資産管理会社等で、お父様の会社の株式を100%保有されていれば、債務免除益は生じません。

(2)息子様個人について
 個人による貸付のDESは、所得税法上、現物出資時に交付される出資金の時価で評価されるため、債務超過会社に無償で譲渡であれば、課税されない事が殆どです。
 但し、DESにより債務超過が解消し会社価値が増加すると、息子様から他の株主へのみなし譲渡として課税される恐れもあります。
 また、DESによる損失計上や給与所得との通算は難しいと思われます。

?その他手続上の留意点
・お父様の会社で申し上げると、会計上の処理も税務上と同じく時価で評価しますので、税務と会計の差は基本的にはでない事が多いです。
・DESに充てる金銭消費貸借契約の特定をする必要があります。
・弁済期の到来した貸付金の現物出資で、おとお様の会社の借入金の帳簿価額以下の額での増資に該当する場合、検査薬検査は不要です。弁済期が到来していなくても、DESを分割すれば避けられます。
・可能性が低いですが、お父様の会社の資本金等が増額すれば、中小法人の特例、住民税均等割、外形標準課税課税、登録免許税の負担が生じる場合があります。
・念のためですが、貸付金が息子様の会社であれば、消費税は非課税売上となります。

谷口純一公認会計士・税理士事務所

2011/2/18 金曜日