学費援助は贈与?

お世話になります。

夫の父は個人事業を営んでおります。

夫と私はその青色専従者で毎月各々給与をもらっています。

父は不動産の収入も多くあるため、私たちの生活費は全部父が負担してくれていますので自分たちの給与は各々の口座にすべて貯蓄してあります。
父とは同居しています。

しかしここ数年事業の経営が芳しくなく借入金の返済などもあり事業資金が不足しておりました。

そこで夫と私が貯蓄していたお金を父に「貸付金」として数回にわたって貸しました。

借用書作成と毎月の返済はしてもらっています。

生活費は相変わらずすべて父に負担してもらっています。

※父は不動産資産をもっているため相続時の対策として父の資産を極力減らす目的で行っているつもりです。

【質問1】このように親に学費支払の能力がある状況で、父に私どもの子供の学費を負担してもらうことは贈与とみなされてしまいますでしょうか?
学費の支払は1年に2回、父の口座→大学口座へ直接入金。年間150万ほどです。

【質問2】入学金は御祝として20万もらいましたがこちらは祝儀として問題ない金額でしょうか?
こちらは現金でもらい→大学口座へ直接入金しました。

【質問3】もし課税対象ならば・・・生活費、養育費は贈与にあたらない認識でおりましたがこういった事例で課税されてしまうケースは多いのでしょうか。
調査が入った場合、反論の余地はありますでしょうか。

東京都品川区の税理士の八木俊助です。
よろしくお願いいたします。

法律上、祖父は孫の扶養義務者に該当します。一世代飛ばしていても、親に支払能力があろうと、学資の贈与は、実際の学費にあてられている限り、非課税に該当します。
したがいまして、この学資金について贈与税の問題はありません。

八木俊助税理士事務所

2012/6/12 火曜日

?.税法の考え方

贈与税は、原則として贈与を受けたすべての財産に対してかかりますが、その財産の性質や贈与の目的などからみて、次に掲げる財産については贈与税がかからないことになっています。

1 法人からの贈与により取得した財産

2 夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの
ここでいう生活費は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、また、教育費とは、学費や教材費、文具費などをいいます。
なお、贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られます。したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかることになります。

3 宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者が取得した財産で、その公益を目的とする事業に使われることが確実なもの

4 奨学金の支給を目的とする特定公益信託や財務大臣の指定した特定公益信託から交付される金品で一定の要件に当てはまるもの

5 地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人又はその人を扶養する人が心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利

6 公職選挙法の適用を受ける選挙の候補者が選挙運動のために取得した金品で、公職選挙法の規定による報告がなされたもの

7 特別障害者扶養信託契約に基づく信託受益権

8 個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞などのための金品で、社会通念上相当と認められるもの

9 相続や遺贈により財産を取得した人が、相続があった年に被相続人から贈与により取得した財産

10 直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの

?.本件の場合

【質問1】このように親に学費支払の能力がある状況で、父に私どもの子供の学費を負担してもらうことは贈与とみなされてしまいますでしょうか?
学費の支払は1年に2回、父の口座→大学口座へ直接入金。年間150万ほどです。

本件は、扶養義務者から教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるものですので、非課税です。

【質問2】入学金は御祝として20万もらいましたがこちらは祝儀として問題ない金額でしょうか?
こちらは現金でもらい→大学口座へ直接入金しました。

社会通念上相当と認められるものですので、非課税です。

【質問3】もし課税対象ならば・・・生活費、養育費は贈与にあたらない認識でおりましたがこういった事例で課税されてしまうケースは多いのでしょうか。
調査が入った場合、反論の余地はありますでしょうか。

贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られます。したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかることになります。
本件の場合は、特に問題はないと考えられます。

しかし、「父は不動産資産をもっているため相続時の対策として父の資産を極力減らす目的で行っているつもりです」ということであれば、微妙な問題も含んできます。
多少の経費は掛かるかもしれませんが、相続税に強いお近くの税理士にご相談するのも、一方です。

以上

山口経営会計事務所

2012/6/18 月曜日