父から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税適用

主人駐在のためアメリカ在住6年です。まだ、しばらく駐在予定があり、この度アメリカで住宅を取得する予定です。父より、1000万の贈与を受ける際の
(質問1)
非課税適用の範囲とその方法
(質問2)
もし、非課税適用範囲外であれば、贈与税支払い方法と金額
を教えてください。

1.まず大前提として、そもそも贈与税がかかるかどうかということですが、あなたは「非居住者」に該当しますが、「日本国籍」をお持ちでしょうし、お父様は日本にお住まいでしょうから贈与税がかかります。(下記の無制限納税義務者の(2)になります)

[贈与税の納税義務者]
< 無制限納税義務者>・・・国内財産及び国外財産すべてに課税
(1)居住無制限納税義務者
贈与により財産を取得した個人で当該財産を取得した時において日本国内に住所を有する者
(2)非居住無制限納税義務者
贈与により財産を取得した日本国籍を有する個人で当該財産を取得した時において日本国内に住所を有していない者 (その個人又はその贈与をした人がその贈与前5年以内のいずれかの時において日本国内に住所を有していたことがある場合に限ります。)
< 制限納税義務者>・・・国内財産に課税
贈与により日本国内にある財産を取得した個人でその財産を取得した時において日本国内に住所を有しない者 (非居住無制限納税義務者に該当する人を除きます。)

2.次に考えられる規定を確認していきます。

(1)まず「住宅取得等資金の非課税制度」についてです。この規定に該当すれば平成23年度は1,000万円まで非課税となります。
この制度では「受贈者が?贈与時に日本国内に住所を有する?日本国内に住所を有しない場合には、贈与時に日本国籍を有し、かつ、受贈者または贈与者がその贈与前5年以内のいずれかの時において日本国内に住所を有していたことがある」という要件はクリアしますが、「住宅用の家屋が日本国内にある」という要件がありますので、アメリカでの住宅取得には適用がないことになります。

(2)次に「相続時精算課税制度」についてです。この制度では適用選択後、相続開始時までのお父様からの累計贈与額が2,500万円までは贈与税がかかりません。2,500万円を超えた分は一律20%の贈与税がかかります。
要件は「贈与者が65歳以上の親、受贈者は贈与者の推定相続人である20歳以上の子」です。適用を受ける場合には贈与税の申告期間内に「相続時精算課税選択届出書」の提出が必要です。
だたし、この制度はその名のとおり、相続発生時にこの制度を利用した贈与財産を相続税の計算に持ち戻して精算する=相続財産に加算するものです。この制度を利用して支払った贈与税は「相続税の前払い」として、相続税の支払いから差し引けます。
また(1)の適用がある場合、(1)と(2)のW適用という制度もあります。

(3)「相続時精算課税制度」もだめなら通常の暦年課税となります。贈与税の税率改正が国会にかかっていますが確定していないので、現状の税率ですと(1,000万円-110万円)×40%-125万円=231万円の贈与税額となります。

3.最後に申告と納税の方法ですが、
 申告は「納税管理人」(お父様、お知り合いの税理士等)を税務署(どこの税務署にするかは自分で決められます。)に届出(申告書等の提出と同時でも構いません)し、「納税管理人」が申告書等を提出することになります。
 納税は現金納付ですので「納税管理人」に送金して納付してもらうことになります。

及川小四郎税理士事務所

2011/8/5 金曜日