確定申告は必要ですか

パート収入ありの主婦、夫はサラリーマンで私は夫の扶養に入っています。

平成20年7月に土地を売却し、101万円+αの収入がありましたが、そのときは確定申告していませんでした。その年のパート収入は約93万円でした。

この土地は私の祖父が亡くなった際に父及びその兄弟(私から見れば伯父)が相続していたもので、その後平成元年に両親が亡くなったため私が相続したものです。伯父がこの土地を処分し兄弟で分配しようということになり、600万円で売却、経費等を引いて500万円強を分配し、私は101万円強を受け取りました。これについて、最近税務署からお尋ねが郵送されてきました。

【質問1】確定申告は必要ですか?

【質問2】その場合扶養から出なくてはなりませんか?

【質問3】扶養から外れた場合、どんな手続きが必要ですか?

【質問4】確定申告をせずに済む方法はありますか?

【質問5】税務署からのお尋ねを無視するとどうなりますか?

以上、よろしくお願いいたします。

【質問1】確定申告は必要ですか?
(1)「確定申告」は原則として、納付すべき税額がある場合に、必要です。
貴殿の場合、平成20年の所得を考えてみると、パート収入は約93万円は給与所得であり総合課税、売却した土地は共有だったようで分離課税(5年超なため長期譲渡所得)です。
さてここで、気にかかるのは、(1)貴殿の売却した土地の持分がいくらあり、経費等がいくらあったかです。(2)所得控除額がいくらあったかというのが2番目に気にかかります。
それにより、納付すべき算出税額が出ますと、税務署に申告すべき義務が生じます。
一例として、「下記のように」、試算してみます。
(前提)貴殿の持分1/5、譲渡経費90万円、所得控除は基礎控除の38万円のみ、とします。(600万円を、持分どおり分割しないと、貴殿から他者への「贈与」が発生すると考えられます。)
(イ) 給与所得金額=総合課税分; 93-65=28万円
(ロ) 土地譲渡分=長期譲渡所得金額 (600×(1/5))―(取得費5%基準600×(1/5)×5%)―譲渡経費(90×(1/5))=96万円・・・「受け取った金額との差額」は、「贈与等」の問題になると思われます。
(ハ) 所得控除;28-28=0(総合)、96-(38-28)=86(分離・長期譲渡所得)
(ニ) 納付すべき所得税額 86×15%=12.9万円 ∴申告必要。

【質問2】その場合扶養から出なくてはなりませんか?
健康保険上の被扶養者は、年間収入金額が、貴殿が60歳未満の場合は130万円未満、60歳以上の場合180万円未満が原則です。貴殿の場合は、194万円超なため、被扶養者からはずれることになります。すなわち、貴殿自身が、国民健保への加入手続き、第3号から第1号被保険者に変更になることに伴う国民年金の加入手続き、が必要になると思われます。その前提として、会社から社会保険事務所に対し、「健康保険被扶養者(異動)届」と「国民年金第3号被保険者 資格喪失 届」等の提出することになると思われます。詳細は、所轄の市町村役場にお尋ねください。

【質問3】扶養から外れた場合、どんな手続きが必要ですか?
上記「質問2」に同じ。
詳細は、所轄の市町村役場にお尋ねください。

【質問4】確定申告をせずに済む方法はありますか?
ないと思います。土地代金を分割する前なら、所有権の贈与等することで、申告不要(納付税額が生じなかった場合)にすることもできたかもしれません。金銭を受け取った今となっては、譲渡所得が生じており、納付すべき算出税額があれば「確定申告」が必要になります。

【質問5】税務署からのお尋ねを無視するとどうなりますか?
所轄税務署長による、「(更正『申告書を提出して誤謬のある場合』、または決定」処分があると思います。

以上、概略です。個々の例外も考えられますので、「参考にしていただきたい」と思います。

野村和雄税理士事務所

2010/10/20 水曜日

【質問1】確定申告は必要ですか?
(1)所得金額の合計が所得控除額を上回る場合に確定申告が必要です。
(所得金額)
給与所得 93万円-65万円(給与所得控除額)=28万円
 譲渡所得 {収入金額-(取得費 譲渡費用)}×不動産の持分
(所得控除)
 基礎控除 38万円
 その他、生命保険料控除、社会保険料控除など
(所得税)
 (所得金額-所得控除)×税率
 不動産の譲渡所得は分離課税として、給与所得など他の所得とは別に計算します。
 
 譲渡所得ですが、まず伯父に確定申告をされたかどうかを確認してください。もし申告されているのでしたら、持分以外は同じ計算なので取得費(取得時にかかった金額)や譲渡費用がわかるかと思います。
 
【質問2】その場合扶養から出なくてはなりませんか?
所得税の扶養(配偶者控除)と社会保険(健康保険・厚生年金)の扶養があります。
所得税では給与所得と譲渡所得を合わせて103万円を超えると夫の配偶者控除の適用がありません。ただし、141万円までは配偶者控除にかわり配偶者特別控除を受けることができます。

社会保険の扶養は、通常年収130万円で判定しますが、所得税とは異なり不動産の譲渡所得のような一時的な所得はカウントしませんので、独自の基準を設けている健保組合等でない限りそのまま扶養として継続できます。

【質問3】扶養から外れた場合、どんな手続きが必要ですか?
ご主人は年末調整で配偶者控除の適用を受けておられるかと思いますので、奥様の所得が103万円を超える場合、ご主人は平成20年分の確定申告が必要になります。配偶者控除の適用がなく所得控除額が減少しますのでご主人の年収にもよりますが通常は納税になります。

【質問4】確定申告をせずに済む方法はありますか?
【質問1】の通りです。譲渡所得が赤字又は非常に少なく確定申告義務がない場合のみ申告不要になります

【質問5】税務署からのお尋ねを無視するとどうなりますか?
税務署に呼び出しされ、譲渡所得について説明を求められるかと思います。
申告義務がない場合は無視をして構いませんが、そうでなければきちんと対応された方がいいです。

宇佐美税理士・社会保険労務士事務所

2010/10/25 月曜日