別居の母親を扶養家族にしたい

母親(62才)と今年3月まで同居していたのですが、
4月より、私(独身、会社員)が仕事の関係で転勤となり、
別居となっています。(※住民票を移していません。)

もともと、支払等を私がしていました。

生活が2重となり苦しいので、
母親を扶養家族とし、税金が安くならないかと思うのですが。

1.母の生活(のみ)に関する私の支払額
 
 <月々>
 光熱費+通信費:約2万円
 生命保険等:約1万円
 住居(私の持ち家(住宅ローン):約4万円
 (生命保険+住宅ローンは毎年、年末調整に記入してます)

 <今年個別に支払額>
 地デジ化の工事設備費用、エアコン購入。約20万円
 3月末に約10万円渡している。
 冬のボーナスにて母の健康保険料を支払い予定。

 ※支払は、私の口座、カードにより引き落とし。

2.母の状況
 今年4月まで働いていた。定年により退職。
 4カ月間の失業保険を受給。
 
 今年2月より、月2.5万円の年金を受給。
 来年2月より、月7万円の年金受給予定。
 
 ※細かい金額は知りません。

【質問1】
上記の状態では、「生計を一にする」にあたらないのでしょうか?

【質問2】
月々の仕送りは無理です。
ボーナス時にどのくらい仕送りすれば、
「生計を一にする」になりますか?

【質問3】
母親の収入はどこまで、問題ないのでしょうか?

【質問4】
年末調整時にどんな書類が必要でしょうか?

【質問5】
生活が苦しいので、1カ月のうち、2週間、
私の転勤先にて一緒に生活しようかと思います。
何か変わりますか?
(同居にはならないでしょうか?)

【質問6】
税金はどのくらい安くなるのでしょうか?

よろしくお願いします。

【質問1】
上記の状態では、「生計を一にする」にあたらないのでしょうか?
→「生計を一にする」親族とは、必ずしも「同居」を要件としません(所得税 基本通達2-47)。
また、「扶養親族の判定は、原則として、その年の12月31日」です(所得税法85条)。
また、後で「試算します」が、合計所得金額が、「38万円以下の条件」も必要です。
貴殿の場合には、「水道光熱費等」を支払っています。たとえ、貴殿の持ち家のためであってもいいのです。もしそうでなければ、
母が「家賃」を支払う必要があるためだからです。そのため、母は、「扶養親族を一応満たしている」といえる、と思われます。

【質問2】
月々の仕送りは無理です。
ボーナス時にどのくらい仕送りすれば、
「生計を一にする」になりますか?

→「質問1」で、母は、「同一生計親族」の要件を満たしております。貴殿から仕送りが多すぎる場合には、母への「仕送りは、過大だ」となり、逆に、
「母への仕送りは、贈与になる(年間110万円には、しばられない。通常生活するのに必要な程度ならば、特段問題なく思われます。)」可能性がある、と思われます。

【質問3】
母親の収入はどこまで、問題ないのでしょうか?
→母のその年の、「合計所得金額38万円」までです。

「試算」・・・その年(=本年)の母の所得は、下記の通りでよいと思われます。
(1)今年4月まで働いていた。・・・「給与所得」ですが、65万円までは、給与所得金額は0円。
(2)定年により退職。・・・「退職所得」が生じています。なければ、問題ありません。なお、「退職所得金額」は、分離課税です。
しかしです。退職所得金額は、「(その年中の退職手当等の金額 - 退職所得控除額)×(1/2)」で計算し、源泉徴収し、
課税関係を終了させます。「確定申告は不要」、とすることはできますが、合計所得金額の計算上は、影響あります。
※文面から察しますと、次年度以降、「退職所得金額」は、考慮が「不要」のようです。

(3)4カ月間の失業保険を受給。・・・失業保険は、「非課税」です。
(4)今年2月より、月2.5万円の年金を受給。・・・「雑所得」。2.5×(12-1)=27.5万円≦70万円
(70万円=65歳未満の最低基礎控除額)∴0円

以上より、「母の合計所得金額」は、「給与所得金額+退職所得金額」が「38万円以下」の場合、該当する見込みです。

【質問4】
年末調整時にどんな書類が必要でしょうか?
→「年末調整」は貴殿の、そ年中の支払確定した給与等が2000万円以下の場合に、原則として適用されますもので、
給与所得者の場合に、原則として受けられます。
母については、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出し、「平成○○年中の所得の見積額」に記載します。
必要に応じて、源泉徴収票等を年末調整者(=会社)に提出してください。
なお蛇足ながら、これは、「確定申告書AまたはB」の第2表欄に、該当します。

【質問5】
生活が苦しいので、1カ月のうち、2週間、
私の転勤先にて一緒に生活しようかと思います。
何か変わりますか?
(同居にはならないでしょうか?)

→上記条文にもありますが、「同居する・しない」は、「何等判定上、問題なし」と思われます。

【質問6】
税金はどのくらい安くなるのでしょうか?
→貴殿の所得税は、「所得控除」が38万円多くなり、超過累進税率が適用され「税額計算」され、所得税額が減少します。
また自動計算されますが、住民税は「所得控除」が、33万円多くなり、
10%課税分も減少することになります。

参考までに、
「合計所得金額」とは、「純損失の繰越控除」および、「雑損失の繰越控除」前の「総所得金額等の金額」をいう。
「総所得金額等の金額」とは、下記の合計額であり、申告分離課税の総所得金額のある場合には、それらの特別控除前の所得金額の合計額である。
(1)総所得金額(事業所得、利子所得、配当所得、給与所得、総合課税の短期譲渡所得、雑所得金額)
(2)総合課税の長期譲渡所得金額と一時所得金額(損益通算後)の1/2
(3)退職所得金額
(4)山林所得金額

野村和雄税理士事務所

2011/9/20 火曜日