専従者との掛け持ち

現在自営業で専従者になっています。
ある市で嘱託の仕事の募集があり、応募しようか迷っていますが、募集要項にほかの仕事との掛け持ちは、だめとのことです。そして、年間150日程度のしごとです。給与も年間100万以内なのですが、専従者だと掛け持ちになるのですか?

(結論)「掛け持ち」となる、といえそうです。お取扱いは微妙なもので、不況下の現在、流動的、ケースバイケース、です。所轄の税務署の方に、事情を話し、「『専ら』に付いて、所得税法令165条の解釈について」ということで、ご相談することをお勧めします。

(解説)(所得税法57条)(所得税法令165、166条)
(白色、青色)事業専従者に該当するか否かの判定は、下記によります。
専従者とは、不動産所得、事業所得、又は山林所得を生じる事業に、専ら従事している同一生計の者」が、対象となります。下記を基準とします。
(1) 原則として、その年(H22年)の12月31日の状態で判定されます。
(2) 原則として、その年(H22年)の12月31日で15歳以上であること。
(3) (原則)その年中6ケ月超、専らその事業に、従事すること。
(4) (特例)年の中途における開業、親族の長期の病気、婚姻等などの場合には、「従事可能期間の1/2超、専ら従事(青色、白色)」すること。白色事業者は、「みなし」扱い。
 
貴殿の場合は、「専従が常態」のようですので、上記(3)、(4)が問題となります。他の仕事への従事の仕方が、短時間・短期間とは言えず、「専従というには、支障がある」といえそうなのです。

「専ら、従事する期間」の判定
次に該当する者のその該当する期間は、専従期間に含まれない。(所得税法令165条?)
(1) 高校、大学その他の専修学校などの学生又は生徒である者(夜間学校除く)
(2) 他に職業がある者(「他の職業の従事時間が、短い場合除く」
(3) 老衰その他心身の障害により、事業に従事する能力が著しく阻害されている者
他に職業を有する者(その事業に専ら従事することが妨げられないと認められる者を除く)に該当する期間は含まれない、ものとされています。
 
一方で、150日<365日×1/2となります。同一生計親族には労働基準法は適用されず、週1回の休日を与えるべきという論点も、問題となりません。それを織り込んだとしても、150日<(365―52)日×1/2でもあります。「専ら、従事している」ように見受けられます。

他方で、しかしながら、「募集要項にほかの仕事との掛け持ちは、だめ」という条件は、「ほかの仕事」というのは、貴殿の場合「専従している仕事」を示します。従って、所得税法上の問題以前に、貴殿はその応募資格が問題になりそうです。「掛け持ち」に該当すると言えそうであるが、所得税上の専従者になれるか、が「今回の回答」の論点であります。

なお、もとより、「給与も年間100万以内・・・」は給与所得であり、その金額の大小は問題となりません。しかし、貴殿は、2ケ所以上(専従者給与、他の給与)から収入があるため、原則として、「確定申告」が必要になります。

野村和雄税理士事務所

2011/2/16 水曜日