親による住宅ローンの繰上げ返済

質問させていただきます。

・当方は現在、銀行で住宅ローンを組んでいますが、実父から残りの元本相当額を借りて全額繰上げ返済することを計画しています
・実父と当方の間で借用証書は作成します
・実父の厚意で「利息はいらない」と言ってもらっています

【質問1】
利息の無い金銭貸借は贈与とみなされますか?

【質問2】
形式的に利息をつけて実父へ返済し、別途、利息分を(非課税控除額である)年間110万円を超えない範囲で実父から当方へ還付してもらうことは税法上問題ありませんでしょうか?

以上2点についてご見識を伺いたく、宜しくお願いいたします。

「親子間の金銭の貸借問題」であり、「永遠のテーマ」ですが、ほぼ結論は、出ているようです。結論としては、「所轄税務署の意向に拠る」と言える、と思います。
(質問1)
(結論)「贈与」とみなされる。
(説明)
前提条件より、「金銭(消費)貸借」により、「贈与問題」を解決なさろうとしています。
今回のケースは、貸主から借主に対して、無利息とすることにより、「経済的利益の供与」があったものと認定され、相続税法9条等を根拠として、金銭貸借の対象とされる、「(総)元本+利息」が、「贈与税の対象となる」でよいと思われます。
なお、「贈与」は、一般的に、不動産を取得した場合に厳しく追及されますが、「返済時」はそれほどでない気が、個人的には、いたします。
(質問2)
(結論)贈与を「暦年課税」選択できるならば、年間110万円まで、贈与税がかかりません。従って、誰からでも、その贈与額の年間合計額で「110万円」までは、贈与税が課税されません。今回の場合、実父からの贈与で、「暦年課税」が選択できれば可能です。
また、今回の場合は、「相続時精算課税制度」を利用するのも一案です。
参考までに、金利は、「4%+前年11月末の公定歩合」が、一般的に基本ですから、現在ならば、4.3%位かと思われます。従って、2,550万円程度の贈与であれば、利息部分については、クリアできそうです。
(説明)
「親子間の金銭の貸借」は、要件を具備していると、通常認められるとされています。
要件とは、次の通りと一般にされています。
(1)「金銭消費貸借証書の締結」(2)「借主の、返済能力・返済資金調達が確認できること(例えば、月々の「元金+利息」が、借主の支払可能額であること)(3)通帳と印鑑を貸主と借主は各自保管し、かつ、返済の証拠を残す。(4)貸主は、借主から受け取った利息を、一般的に、雑所得として、確定申告する。
なお、今回の場合は、「金銭の貸借時」から、「相続時精算課税制度」を利用するのも一案です。2,500万円を超えれば、その部分については20%課税ですので、かなり有効な考え方と思われます。
なお、回答する場合、「形式的に」などと露骨な言い回しの「ご質問」は、一般的に回答しづらいと思いますので、よろしくご配慮願います。

野村和雄税理士事務所

2011/2/4 金曜日