配偶者への居住財産税控除

住宅を購入する計画(5,500万円)しています。配偶者(婚姻20年以上)への2,000万円(35%持ち分)をで贈与したいのですが、ローン5,000万円の場合ローンの一部を居住用財産の贈与とみなせるか、ローン3,500万円にすべきかご教授願います。

ご質問の内容から推察しますと、下記のようになると思われます。
(結論)
贈与は、今回の前提の場合、「住宅取得のうち、持分35%分のこと」だと思われます。
いずれにしても、不動産「登記持分」が重要です。又、将来の「住宅譲渡の場合の特別控除3,000万円」を考え、土地及び建物共に共有とし、二人とも、この規定が適用になるように「登記」することをお勧めいたします。
(1)「ローン5,000万円の場合ローンの一部を居住用財産の贈与とみなせるか」・・・
借入金を連帯債務(連帯債務とすることは容易だが、配偶者に所得のない場合は意味がない)とすれば、
「各人がいくら負担しているか」であり、「登記だけの問題」となります。この場合は、各人、住宅ローン減税の問題が出て、持分計算された分のみ各人控除できることとなります。この場合、贈与はなく、各人借入金を負担していることとなり、「みなしの問題」は生じません。
本人のみの単独債務の場合は、「借入金は全て、本人のみ」となります。従って、本人のみの住宅ローン減税となり、「借入金の一部を贈与とは、みなせません」となります。但し、上記同様、持分割合の問題は依然として生じ、「登記部分について、配偶者への贈与は生じている」事となります。
(2)「ローン3,500万円にすべきか」・・・
この場合、奥さんが、「35%持ち分」を負担するのですから、奥さんは、5,500×35%=1,925万円支出したことになります。この分を、「どのような形かで、贈与していれば問題ない」と思います。
一方で、現行では、合計所得金額制限はありますが、住宅ローン税額控除減税が1%、10年間適用されます。他方で借入金が多いと毎月返済額・金利負担が重たいです。ご質問の方は、「自己資金」をかなり、お持ちの方のようですので、「住宅取得後、所得のある方」は、熟慮して下さい。

(説明)
周知のように、現行では、戸籍上、婚姻20年以上の場合、住宅取得のため配偶者に住宅取得資金を贈与できます。その「贈与税の配偶者特別控除」枠は2,000万円であり、暦年課税の非課税枠110万円と加算して、2,110万円までです。なお、「相続税の計算上の3年間以内の贈与加算、持ち戻し計算上、110万円」は、相続財産に加算されます。贈与は、登記時の持分割合が基準となり、2,110÷5,500=38.3%程度まで適用され、35%は、「贈与税の申告を条件として、課税されない」こととなります。

野村和雄税理士事務所

2011/2/9 水曜日