贈与税

主人は父の会社(中小企業)を継ぎ社長をしています。父は数年前に他界しましたが、母が会社の大株主でした。主人が社長になったのを機に株を主人名義に2年前に変えたようです。最近になってその話を聞き、その上贈与税は払っていない、とのこと。母が亡くなると、贈与ではなく相続になるから・・・と説明されました。が、主人が最近癌の末期とわかり、高齢とはいえ主人の母はとても元気です。主人も予想していなかったこととはいえ、贈与税は相続税より非常に高いとは聞いています。自分が先に亡くなったら贈与になり、多額の請求がくると主人が落ち込んでおり、どの程度くるのか、また節税対策はあるのか教えてください。株の総額は名義変更した時点で、3500万ぐらいらしいです。
私の家族は主人、私、長男夫婦、次男です。よろしくお願いいたします。息子たちは二人とも成人して、社会人です。

1.お母様からご主人への株の贈与
2年前に贈与なさっていて、おそらく株主名簿の書き換え、会社の申告において株主の変更もされておられると推測されます。
こうなりますと、対価の支払いがない限り、贈与ということになり、贈与税の期限後申告と納税が必要になります。
このように「贈与」として取り扱われますと、おっしゃる通り、贈与税の税率は高く、延滞税の負担もあり、負担は非常に重くなってしまいます。
(贈与税の試算)
(3,500万円-110万円)×50%-225万円=1,470万円
ただ、後述いたしますが、御社の経理ご担当者様、あるいは何らかの形で関係されている税理士は、対価の支払いなど、何らかの対策を打たれているのではないでしょうか。
まず、そちらをご確認なされた方がよろしいかと存じます。
なお、ご質問内容に、お母様が先に亡くなると贈与ではなく相続になるから・・・とございますが、仮にお母様が先にお亡くなりになったとしても、贈与税はさかのぼって課税されてしまいます。
相続が発生しても、原則と致しまして贈与税の納税義務はなくならないこととなっています。

2.節税対策
1)株の総額につきまして
株の総額が名義変更をされた時点で3,500万円程度とのことですが、中小企業の株式の評価は、払込金額ではなく、贈与の時期の会社財産などを評価して決定します。もし、3,500万円が払込金額でしたら、実際の評価額はその金額より大きく変わってまいります。
2)対価の支払い
御社は中小企業とのことですが、株の総額の大きさから推測いたしますと、何らかの形で税理士の関与がおありになるのではないでしょうか。
その場合、税理士は、贈与による税負担を重視するでしょうから、何らかの対策をとっていることも考えられます。
例えば、名義変更時にお母様へ対価をお支払いになっておられませんでしたでしょうか。
もう一度お母様やご主人、会社の経理担当者様などにお聞きになってみてはいかがでしょうか。

ご主人のお体がご心配で、何かと大変なご事情があるとは存じますが、税の専門家であります税理士にご依頼いただければ、全体を見据えた節税を含めて、解決の大きなお力になれると考えます。
ぜひご一考ください。

居林順二税理士事務所

2010/10/18 月曜日