贈与について質問させていただきます

15年前に30年のローンで住宅を購入。頭金は妻が出し、残金を夫名義でローンを組みました。約、夫8:妻2割の共有名義です。
しかし4年前に離婚、妻の持ち分を夫もしくは息子に名義変更したいと思いますが、登記費用を含め、どのようにしたら一番費用がかからないか教えてください。
尚、5年後には息子に家を譲る予定です。(その時点で約1千万ローン残有り、息子に引継ぐ予定)
その時まで手続きを待った方が良いでしょうか。
現時点での売値は1500万円程度だと思います。

はじめまして。税理士の小林慶久と申します。宜しく御願いします。
 色々複雑な家庭の御事情が御有りのようですが、長期的な視野で考えた場合、当面考えなければいけないことは、現在住んでいらっしゃる住宅について4年前に離婚された奥様の持ち分に相当する2割の価額を、いずれ貴方がその家全体を譲ろうと考えておられる息子さんの名義へ変更することです。最終的にそうされるおつもりであるなら、父親である貴方を経由して彼の名義にするよりか、なるべく1回の所有権移転の手続で済ませた方が、登記費用等諸々のコストは安くなります。そのことを実現するためには、貴方の元奥様の御気持ちも尊重しなければならず、税法等の制度以外の問題も内包されているように感じますが、母親から息子への所有権移転ということであれば、売価及び原価のいずれか低い価額の2割に相当する部分のうち、贈与税の非課税額の上限として規定されている年額110万円までに相当する金額は贈与、それ以外の部分については譲渡というようにされたら如何ですか?そうすれば、御自宅の評価額の2割の部分について元奥様に譲渡所得税等の税金の負担が課されること無く、息子さんの名義に変更出来ると思います。彼女は当然現在において貴方と同居されてはいないと思いますので、後々の不確実な要素を回避するためにもなるべく早いうちに、元奥様の名義の部分については息子さんに所有編を移転した方が宜しいのではないかと考える次第です。
 そして貴方の名義で所有していらっしゃる御自宅の残りの8割の部分については、5年後に息子さんの名義に変えたいということでしたら、それはそれで良いのですが、単に名義だけを変更されて、その時点のローンの残高1,000万円を従来通り貴方が支払続けていくとすると、不動産の所有権移転に関して贈与税の問題も生じるため、そのような構想を前提とするなら焦る事無く、先々の相続の際に息子さんに正式に名義を変更するということで良いかと考えます。あるいはその時点でローンの支払の負担を息子さんにバトンタッチされる御意向でしたら、その時点での御自宅の評価額の80%と贈与の際の非課税枠の110万円を合わせた金額に相当するローン残高について、それ以後の支払の負担を抱き合わせで引き継ぐ負担付き贈与という方法によって息子さんに所有権を移転することが可能になります。その場合に御自宅の評価額の80% + 110万円 - ローン残高により算定される金額すなわち負担付き贈与の枠に収まらない不動産の評価額が存在する場合には、その金額に関して税法の定める要件を満たすのであれば、相続時精算課税の制度を活用した非課税枠を用い、息子さんの名義に変更されれば良いのではないでしょうか?それらの方法を適用すれば、不動産の名義変更に伴う贈与税等の負担は基本的に発生しませんが、それとは異なり御自宅の評価額の8割に相当する部分がその時点のローン残高に満たないとしたら、その際に御自宅の土地並びに建物の名義は前述の負担付き贈与により、その全てを息子さんに変更することが出来、それによって彼に引き継ぐことが出来ないローンの残高に伴う金銭的な負担を貴方が御弁済されれば良いかと思います。

2012/6/8 金曜日