土地の相続について

父親が所有していると土地について、相続が発生した時に一番有利な相続の方法はどのようになるのでしょうか?
以下状況を記載します。

土地:620m2。310m2が居住用、310m2が駐車場経営。
家族:配偶者+子3名(長女、長男、次女)
同居:配偶者と子1名(次女)
相続:最後には居住用は次女、駐車場は長女・長男が相続する。
相続税路線価:165000円
その他:配偶者が生存の場合と亡くなっている場合とで教えて下さい。二次相続まで考えると非常に難しいです。

〈補足〉

質問に付け加えさせてください。

基礎控除5000万+法定相続人×1000万で計算すると税金はほとんどかからないのはわかっています。

新税法の基礎控除3000万+法定相続人×600万 で計算をお願いします。
これだとやり方によっては相続税が結構発生するので、なんとかしたいと思いまして質問しました。宜しくお願いします。

はじめまして、税理士の小林慶久です。宜しく御願いします。
 最初に御父様に関する相続の前提となる土地の評価について、伺った路線価を基に計算させて頂きますと、 
620平方メートル × 165,000円 = 1億 230万円
になります。それに対する基礎控除は、相続人が配偶者でいらっしゃる御母様と御子息3人ということだとして、現行の税制下であれば、9,000万円ということになります。従って二次相続まで考えられるとすると、御母様が御父様よりも長く御存命であられるとした上で、下記の2つの場合に大きく分けて考えられると良いでしょう。

1、土地以外の財産(建物等)+1億 230万円-(注)小規模宅地の評価減の金額が9,000万円よりも少ない場合

 相続税が基本的に1円も課税されないので、居住用土地はゆくゆく取得すると考えておられる次女が相続されて、駐車場もそれと同様に考えられた上、さらに公平に長女と長男で半分ずつの所有とされたら宜しいのではないでしょうか。

(注)基本的に居住用地であれば評価額の80%、駐車場用地であれば評価額の50%につき課税の基準となる財産の価額を減額出来るのだが、面積制限もあるため、より有利な方法を選択し、居住用部分から減額することとする。具体的な計算方法は、
1億 230万円 × 310分の240 × 80% = 6,336万円

2、土地以外の財産(建物等)+1億 230万円-小規模宅地の評価減の金額が9,000万円よりも大きい場合(税法の改正も考慮すると、相続税の負担が発生する場合)

 取得される全財産の評価額が1億6,000万円までの範囲に関して、御父様の配偶者である御母様が相続された財産には相続税が課されないため、いったんは御母様が相続された後で御自身が御亡くなりになられる二次相続の際には、上記1のように配分すれば良いでしょう。
 最後に仮に御母様の方が御父様よりも早く御逝去されることを想定させて頂くと、自宅の建物と合わせて、配偶者に居住用の財産を贈与した場合に評価額の合計が2,000万円までの範囲につき、贈与税が無税になる制度等を活用した上で、御母様の相続発生時にはその居住用不動産を同居していらっしゃる次女の方が相続されることも念頭に置き、最終的に上記1のような所有形態になるようにされたら宜しいと思います。

〈補足について〉
 御指摘の新税法―相続税の改正については、既に決定が為されたわけでは無く、現在国会で審議している「社会保障と税の一体改革案」の関連の中で、今後取り上げられる予定となっており、その施行自体は、早くて平成27年1月以降だと言われております。先日の回答の際にある程度、そのことも念頭に置かせては頂いておりましたため基本的な方向性に変更があるわけでは無く、御母様が御父様よりも今後長く生きておられるという前提に立った場合の2つのパターンにおける基礎控除の9,000万円として設定した金額が5,400万円に変更されることになります。
 一昨日計算させて頂いた土地の路線価評価額―1億 230万円から居住用不動産であれば同居していた方が相続財産として取得して以降、そのまま住み続ける等の所定の要件を満たすことを前提に小規模宅地の評価減の金額として算出された6,336万円を控除した金額に他の財産を加算した金額、具体的には下記の算式で示される金額が貴方に関連して発生する相続の場合に5,400万円未満、すなわち建物及び現金等土地以外のその他の相続財産の合計額が1,506万円以下であれば、相続税が生じないことになろうかと思います。
  3,894万円(1億 230万円―6,336万円)+建物、現金等のその他の財産の価額
 冒頭に申し上げた相続税法が現在取り沙汰されているように改正されると、御兄弟で相続財産を取得した場合には相続税の金額がゼロにはなりづらくなるため、以前に2番目のパターンで示させて頂いたように税負担が発生することを想定されて、諸々の対策を進める必要性が高くなろうかと思います。その場合に一昨日御示ししたように、仮に改正があろうとも配偶者の税額軽減が認められ、土地に関する小規模宅地の評価減等の制度も適用した後の評価額がゼロになる上限である財産価額1億6,000万円までの財産については、御父様の配偶者である御母様に財産を相続してもらい、その後の御母様の相続の際に貴方が御質問時に示された構想に従って御兄弟で土地等を配分されれば良いでしょう。
 ところで改正相続税法を視野に入れつつ、先日は御母様の方が御父様より仮に先に亡くなられる場合を考慮して御提案させて頂いた評価額2,000万円までの居住用財産を配偶者に贈与した場合における贈与税の軽減制度の利用を御両親の間で財産をなるべく均等に所有されておかれるべき対策として活用されても宜しいのではないですか?御二人が各自で土地を所有していらっしゃれば、度々申し上げている小規模宅地の評価減について、その適用対象となる面積を結果として広げることに繋がります。新しくなる税制度を前提にすると、それぞれの被相続人の方の全相続財産が上述の基礎控除額5,400万円+小規模宅地の評価減が適用される金額の範囲内の財産であれば、原則として相続税が無税になるので、御母様が現時点で所有していらっしゃる財産が御父様に比べて遥かに少ないのであれば、流動性のある預金等を可能な限り御父様から御母様名義に移行されれば良いと思います。そうしたことの積み重ねにより、税額をゼロには出来ないまでも可能な限り、その負担を減らすことが出来るのではと考える次第です。
 また、何か疑問な点等有りましたら、何度でも御質問して見て下さい。

2012/6/7 木曜日